北海道[厚岸]のウィスキー製造の堅展実業株式会社 厚岸蒸溜所が今年2020年2月27日に発売した「厚岸ウイスキー サロルンカムイ」が米国の世界的な酒類コンペティション「サンフランシスコ・ワールド・スピリッツ・コンペティション」(SWSC)のウイスキー部門アザーシングルモルトウイスキーカテゴリーにおいて見事「最優秀金賞」を受賞されました。
かつて「山崎25年」「山崎18年」「白州18年」なども同最優秀金賞を受賞されていて、それらと肩を並べたと言っても過言ではない名誉ある賞を受賞したことになります。
以下、北海道新聞記事抜粋。
1.「サンフランシスコ・ワールド・スピリッツ・コンペティション」(SWSC)とは
米国の酒類業界紙「テイスティング・パネル・マガジン」などが主催する米国最大かつ国際的な酒類コンペティションです。
「ウイスキー」「ブランデー」「ホワイトスピリッツ」など全4部門から成り、各部門はさらに複数のカテゴリーに細分化されております。今年で20回目の開催となります。
ホテルマン・バーテンダー・レストラン関係者・流通バイヤー・ジャーナリストなど幅広い各界の代表者40名以上が厳格なブラインドテイスティングを行い、カテゴリー毎に最優秀金賞(ダブルゴールド)、金賞(ゴールド)、銀賞(シルバー)、銅賞(ブロンズ)が選出されます。
過去、最優秀金賞を受賞している主なジャパニーズウイスキー
山崎25年、山崎18年、山崎12年、白州18年、白州12年、響12年、響 JAPANESE HARMONY。
2.厚岸蒸溜所について
2016年11月開業。
「厚岸」と聞くとまず”牡蠣”を連想される方が多いのではないでしょうか。「厚岸」は国内で唯一年中出荷できる牡蠣の名産地です。
「厚岸」は北海道の東部にあり、釧路市と根室市のほぼ中間に位置しています。釧路から車で約50分、札幌からは電車を乗り継いで5時間ちょっとの所にあります。では、なぜそんな牡蠣の街「厚岸」にウイスキー蒸溜所を作ったのか?
「想い」と「こだわり」が凄いのです。
①ウイスキー造りに適した気候
冷涼で湿潤な気候で海霧が発生しやすい。1年を通して寒暖の差が高く熟成速度が速い。
②泥炭層を通った仕込み水が採れる
スコットランドのアイラ島の蒸溜所のように、泥炭層を通った水でウイスキーを作るには北海道しかなかった。
③日本の主な泥炭の産地は北海道
アイラ島のスモーキーなウイスキー造りに欠かせない泥炭。泥炭が日本で採れるのは主に北海道。
これらの条件を満たした地が北海道の「厚岸」だったのです。
余談ですが、電車で行くとこんな感じです。釧路から根室行きの「快速ノサップ」衝撃の1両編成に乗ります。右も左も木々に囲まれ、ひたすらこの景色がおよそ50分続きます。見て分かる通り、線路が単線なので当然電車が交差できない仕組みになっていますね。
3.厚岸蒸溜所のこだわり
2019年夏に厚岸蒸溜所に見学に行きました。その際、蒸溜所の「こだわり」についてもお伺いすることができました。
①徹底した品質管理
厚岸蒸留所を任されている立崎所長は、実は前職は某乳業会社で勤められていて、牛乳の製造などを経験されている方で、飲料製造の衛生管理に関してはプロ中のプロだったのです。このノウハウを厚岸蒸留所にも適用し、徹底した衛生管理を行っているとの事でした。
②機材は本場スコットランド製
厚岸蒸留所の蒸留器は、本場スコットランドのフォーサイス社製を導入していることは、事前情報で把握していました。施工時にはスコットランドから技術者数十人が来日し、設置組立作業の全てをフォーサイス社で行ったとの事でした。実際にこのポットスチルを目の前で見た時に、こんな大きなポットスチルをよくスコットランドから運んできたなぁと、厚岸蒸留のこだわりの強さに改めて感心しました。
③目指すはオール北海道
現在は輸入している麦を原料として使用しておりますが、将来的には北海道産の麦と北海道産の泥炭を使って、原材料オール北海道のウイスキー造りを目指しているとのことです。
原材料、製造に必要な機材、そして製造工程を管理する品質管理と衛生管理の全てにおいて「こだわり」を感じます。
実際に蒸溜したてのニューポットを試飲させて頂いたときに、その「甘さと風味」に感動しました。
ニューポットなのにアルコールの辛さが無く、甘味を感じるほどでニューポットとは思えない「甘さ」と、他とは異なる独特の「風味」もとても素晴らしく、この「こだわり」が厚岸ウイスキーの今後の肝になっていくのではないかと感じました。
蒸留所内で写真撮影可能なのは、熟成庫のみということで、写真はこの一枚。
蒸溜所見学内容の詳細は蒸溜所見学レポートにて。
4.厚岸ウイスキー「サロルンカムイ」について
2016年の開業後、3年の熟成を経て、遂にシングルモルトウイスキーとなりました。
もうすでにその人気はみなさんご存知だと思います。
商品名は「サロルンカムイ」(アイヌ語でタンチョウを指し「湿地にいる神」の意味)
まさにタンチョウを連想させる真っ白なボトルです。
今回のサロルンカムイはライトリーピーデッドとなります。
配合された原酒は全て操業初年度である2016年製のもので、熟成樽はバーボン樽、シェリー樽、赤ワイン樽そして、ミズナラ樽。
前回以上に希少価値が高まってきた厚岸ウィスキー。
10月には厚岸蒸溜所初の700ml容量のシングルモルトを発売する予定のようで、これから更に注目されていくこと間違いなしです。